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アナザーノート

アナザーノート 中川透編集委員

 1973(昭和48)年1月3日の朝日新聞朝刊に、「現代住宅双六(すごろく)」と題したさし絵が載った。

 ふり出しは、母親のおなかの中。子供べや→寮・寄宿舎→木造アパート→公営住宅→社宅→賃貸マンション→分譲マンション、などへとコマを進め、上がりは「庭つき郊外一戸建住宅」だ。

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 考案したのは、空間工学が専門の上田篤・京都大助教授(当時)。一緒に掲載された記事の中で、「現実の庶民の住宅の住みかわりの傾向を、わかりやすく図化した」と解説。「国民の住居の最終目標が『一戸建住宅』にあり、『アパート』も『マンション』も、みなその間の『経過的な宿り』」と当時の様子を伝えている。

 以来、半世紀余り。昭和から平成、令和と時を重ね、住まいを巡る状況は様変わりした。住宅の数は不足から過剰に、マンションは仮住まいから終(つい)のすみかへ、人気エリアは郊外から都心に、持ち家志向が薄れて賃貸派が増加……。

 なかでもマンションは変化が著しい。全国の総戸数は、73年の32万戸から2023年に704万戸まで増え、存在感が高まった。今や都心部で暮らす大半の人が真っ先に思い浮かべる住まいだ。

 令和のマンション事情を映すおもしろいデータがある。

姿を消した郊外の「リゾート系」

 不動産情報サービス会社の東…

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